2010年07月31日

「さくら人」



「さくら」
季節はずれの話題と知りつつ、
久しぶりに…いや、もしかすると初めて
これほど胸が締め付けられた曲に出会えたことを
どうしても書き留めておきたかった。

映画やストーリーという背景がありながら
流れた曲に思わず涙してしまうことはよくあるが、
ただ歌を聞いて号泣することはそれほどなかったように思う。
ところがこの歌「さくら人」
歌詞を読んだだけで泣けた、
しかも声をあげて泣けた(;;)
歌を聞くと今は泣いてしまうので、
予め環境(泣く)が整っている時(?)でないと
うっかり聞くことができない。

平成18年の7月28日から三日間。
思えば、
その年の昨日30日まで、父は行方不明になっていた。
脳に転移をはじめていた癌のせいか、
少しずつ脳が萎縮をしていたのか、
時々口にする可笑しな言動が気になりはじめていた頃だった。

まだ幼稚園に通っていた息子の日常をこなしつつ、
時々立ち寄っていた喫茶店の奥さま、
近所の八百屋のご夫婦、
顔写真を片手に、刑事ドラマ宛ら昼も夜も捜し歩いた。
捜索願を出して三日目の夜、
千葉の柏警察から電話があった時、どれほど安堵したことか…。
(なぜ柏に居たのかは未だに謎のまま目

駅前にあるデパートの階段で、苦しくなって蹲っていたらしく、
運よく買い物に来ていたお医者様に助けられ無事保護された。
母と息子と三人で柏警察に到着し、
顔を見た時の笑顔が忘れられない。

そして第一声。
「どこへ行ってたんだ、みんなにご迷惑をかけて…」
そう言いながら警察の方々に頭を下げていた父。
おそらく父の頭の中では、
家族旅行の途中で私たち三人が居なくなってしまった。
そんな設定になっていたのだろう。
どっちの台詞だよ(― ―;と思いつつ、
「ごめんね……」
それしか言えなかった。

無情に過ぎて行く時間に足を踏ん張りながら、
か細くなった身体で懸命に生きていた父を思い、

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 揺れながら風にたえてる花びらに涙がでます
 まるでこのさくらの花のように
 あの日のあなたを 思います
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このフレーズに、どうしようもなく胸が震えた。


posted by 悠(ゆう) at 22:14| Comment(12) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする